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Surface BookのCPUがMacBook Proの2倍の性能であるワケがない点について

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昨日4日がSurface Bookの発売日だというのを忘れておりまして、せっかく秋葉原にいたのにも関わらず触らずに帰ってきました。写真だけでも押さえておくべきでした。

 

その表現は正しくないですよ

それはともかく、発売日ということでSurface Bookに関するエントリがそこかしこでワラワラと公開されているわけでして。で、まあMacBook Proとかの比較記事もあるわけですよ。「Surface BookMacBook Proを比較!どっちを買う!?」みたいな。「両モデルの違いを徹底検証!」みたいな。

 

そんな切り口はよくある話というか、私も頻繁に書くわけで特に問題はないんです。ですが、昨日公開された記事にこんな記述がありまして……。

 

SurfaceBookのCPU速度はMacBookPro13インチモデルの2倍

 

えっとですね。マイクロソフトが公言したのは「性能が2倍」であって「CPU速度が2倍」というわけではないんですよ。なんの性能が2倍なのかまで言及していません。もしかすると「バッテリー性能」かもしれませんし、「ストレージ性能」かもしれませんし、ひょっとすると「メモリー性能」なのかも。まあ、実際のところはグラフィックス性能(もしくはゲーミング性能)といったところでしょうけれどね。

 

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Surface BookMacBook ProのCPU

なぜCPU性能が2倍ではないかというと、Surface Bookに搭載されているCPUはCore i5-6300U/Core i7-6600Uで、MacBook Pro 13インチモデルはCore i5-5257U/Core i5-5258U/Core i7-5557Uだからです。わからない人にはサッパリだと思いますが、気にせずに続けます。

 

現在は国内外のレビューが公開されたことでCPUの型番が知れわたっていますが、発表直後でもマイクロソフトやアップルの情報からどんなCPUが使われているのかは特定可能です。

 

たとえばマイクロソフトはSurfaceBookで「第6世代のCore i5またはCore i7」、「iGPUとしてIntel HD Graphics 520を搭載」のCPUを使っていると公開しました。Intel ARKを見てみると、該当するCPUは4種類しかありません。

 

ark.intel.com

 

マイクロソフトエンタープライズ需要にも対応するためにSurface Pro 3からvPro対応CPUを使っていますSurface Pro 4でもvPro対応CPUを使っていますので、Surface Bookでも使われるでしょう。そう考えると、最終的にCore i5-6300U/Core i7-6600Uしか残らないのです。

 

MacBook ProのCPUも同じような感じで特定できるわけですが、現行モデルは発売されてからだいぶ時間がたっていますので、ちょっと検索すればCPUの種類を知ることが可能です。

 

Surface BookMacBook ProのCPU性能差

で、Surface BookMacBook ProのCPUの違いですが、確かにSkylake世代のCPUは性能が向上しているものの、Broadwell世代からいっきに2倍になるほどではありません。しかもSurface BookのCPUはTDPが15Wで、MacBook Proは28Wです。TDPとは消費電力量を表わす目安で、この数値が高いほど消費電力は大きくなりますが、そのぶん性能はアップします。

 

いくつかのベンチマーク結果を調べてみたところ(自分で検証したベンチマーク結果ではないです)、Suraface Bookの最上位CPUであるCore i7-6600UとMacBook Proの下位CPUであるCore i5-5257Uでは、スコアに10~20%程度の違いしか見られませんでした。同じCPUでもMacBook ProではWindows PCよりもスコアが高い傾向が見られるので、この差はもう少し縮まるかもしれません。

 グラフィックス性能はSurface Bookが高い

このように、CPU速度ではSurface Bookの最上位CPUとMacBook Proの下位CPUを比べてもあまり差がないのです。ではなぜマイクロソフトは「性能が2倍」と公言しているのでしょうか。

 

前述しましたが、私はグラフィックス性能が求められるベンチマークでそのような結果が出たからではないかと考えています。Surface Bookの上位モデルはdGPUとしてMaxwell世代のカスタムGeForce(1GB)を搭載しています。詳しい話はやめておきますが、「GPU-Z」で「Shaders」が「384」となっているあたりから、スペック的にはなんとなくGeForce 940M相当な感じです。

 

いっぽうのMacBook Pro下位CPUのCore i5-5257Uでは、iGPUとしてIntel Iris Graphics 6100が使われています。CPU内蔵のグラフィックス機能としては高性能なのですが、それでも専用に用意されたdGPUにはかないません。Surface BookMacBook Pro 13インチモデルよりも、確実にグラフィックス性能で大きく上回ります。ちなみに15インチモデルではdGPUモデルがあるので、そちらのほうが高性能になるかもしれません。

 

「性能2倍」のカラクリ

それでマイクロソフトはどんな検証を行なったのかという推測なんですけど、おそらくグラフィックス性能とCPU性能が求められるちょっと古めのゲームでFPSを計測した結果なのではないかなーと。ゲームではグラフィックス性能が高いほうがいいとされていますが、CPU性能に依存するタイトルもありまして、そんなゲームではCPUによって差がでることもあります。CPU性能とグラフィックス性能で勝るSurface Bookでそんなベンチマークを行なえば、有利な結果が出るでしょう。

 

またFPSが低い数値であるほど、大きな差があるように表現できます。たとえば20FPSは10FPSに比べて2倍パワフルですよね。PCゲームでは30FPSでなんとか、60FPSで快適と言われるので、全体で見ればどちらも全然パワフルではないんですけど。

 

こういう表現はPCではよくあることでして、たとえばアップルもMacBook Pro15インチモデルで「3D性能が70~80%向上している」と公表しましたが、2年前のゲーム(「TombRaider」)を低画質設定で動作させたときのFPS計測結果を使っていましたね。計測方法を公開しているぶん良心的なのですが、それ大量のベンチマークのなかからいい結果だけを持ってきたんでしょ? 的な感じもします。

 

MacBook Pro Retinaディスプレイモデル - パフォーマンス - Apple(日本)

 

書くのならもう少し踏み込んでいただきたい

件の記事にはほかにも「ディスプレイの解像度が高いSurface Bookのほうが上」とか気になる記述があったんですけど、RetinaディスプレイとPixelSenseディスプレイの解像度の差は常人では区別できないような気がするとか、いろいろ思うところがありまして。なんか、リリースやニュースから拾ってきただけのような気がするわけです。

 

もしかしたらそれくらいのほうがアフィリエイトでCVしやすいのかもしれませんけど、そもそもSurface Bookを選ぶ人はジックリ調べてから買うような気もします。MacBook Proと比較するなら、なおさらではないかと。

 

詳しく書きすぎると逆にCVしないという側面もあります。ちなみに私のメインブログでは、Surface関係は去年1年間で3台売れました(涙)。Mac関係は300万/月くらいの売り上げがありますけど、料率が0.8%なのです(涙)。

 

かけた労力にたいして圧倒的に報われていないわけですが、それよりも情報を正しく伝えることのほうが重要だと思っています。「あのサイトに◯◯◯って書いてあったら買ったのに、使ってみたらそんなことなかった」とか思われると、中長期的にはマイナスですからね。

 

とエラそうなことを言っておきながら、私もしばしば誤った情報を掲載することもあります。そのあたりは、できるかぎり改善していきたいです。

 

 以上、「PC系でトレンドアフィリエイトしようとするとうるさいパソコンの大先生からいろいろ指摘されるのでもう少し調べてから書くほうがいいよっていうか写真はせめて公式のものを使おうぜちなみに今回の写真は自前のものな」という話でした。